x86 プロセッサの将来

牧野淳一郎教授のコラムで、x86プロセッサの現在の方向が限界にきている、という記事を引用させていただく。

アーキテクチャ的な観点からも、 x86 プロセッサの現在の方向が限界にきてい る、というのは実ははっきりしています。マイクロプロセッサの発展は別に何 か新しい道を開拓しているわけではなくて、基本的に20-25年前のスーパーコン ピューターの発展を後追いしています。25年前には巨大なシステムだったもの が1チップになる、というだけです。その意味では、 4-8 コアというのはちょ うど80年代後半の Cray XMP/4 や YMP/8 の時期にあたっており、 Cray の場合 はその次の C/90 の16プロセッサで事実上製品としては終了しています。NEC はそのころになってやっと4プロセッサの SX-3 を投入し、2002年の32プロセッ サの SX7 まで引っ張りますが、共有メモリで性能をだすというのが有利なアプ ローチではなくなったというのは 4 で書いた通りです。つま り、マイクロプロセッサの発展は、歴史において初めて全くお手本がないステー ジにはいったわけです。
スーパーコンピューター開発については、90年代は ASCI プロジェクトに代表 されるような混迷の時代だったわけで、結局同じことがマイクロプロセッサ開 発でも繰り返されるのかもしれません。 というよりも、90年代の「正しい」方向は、分散メモリ並列機であったわけで すが、1チップマイクロプロセッサでの「分散メモリ並列」というのは、 外付のメモリが普通にあるなら意味をなさないし、外付のメモリへのバンド幅 が不足している、という問題を解決できない、というのが問題です。